所長挨拶

                       
横田一彦
次世代ロジスティクス研究所所長
早稲田大学商学学術院教授

2019年末から今も続くコロナ禍は主に2つの事実を私たちに突きつけました。第1に世の中には真に必要な仕事とそうでない仕事(デヴィッド・グーレバーのいうブルシット・ジョブ)があるという残酷な事実です。この状況下でモノやサービスを運ぶ物流、そしてその背景にあるロジスティクスやサプライチェーン網は真に必要な仕事(存在)であるとの認識は以前に比べ格段に広く深くなってきています。生産と消費のサイクルの間にヒト(サービス)とモノの移動があるという当たり前の事実が私たちの前に突然(と言っていいほど急に)現れてきたのです。

第2にコロナ禍は、サプライチェーンの分断による半導体不足、輸送費の高騰、港での荷詰まり等、世界の物流にはいまだ様々な問題があるという事実も同時に明らかにしました。これまで私たちの「次世代ロジスティクス研究所」ではこれらの問題に取り組み、問題解決のための提言だけでなく、高度な人材育成の観点からの研究・広報活動をしてまいりました。マット・リドレーやスティーブン・ピンカーたちの指摘を待つまでもなく、世界は確実に便利で良くなってきています。しかし、今も世界のどこかで紛争が起こり、貧困があり、難民が生まれ、差別があり、様々な格差が拡大しています。本研究所のミッションは「これらの問題の解決に物流・ロジスティクスが貢献できるような研究をする」ことです。

本研究所の活動の柱は2つあり、第1に産官学連携のもと、「CLO(Chief Logistics Officer)の育成を目的とする研究会(マンスリーコロキウム)」の毎月の開催、第2にその実践である「プロジェクト共同研究会」での研究活動です。本研究所が取り上げる主要テーマは、①「グローバルな視点でモノづくりと物流の全体最適化を支援するロジスティクス」(グローバル・サプライチェーン・ロジスティクス)と②「あるべき次世代社会システムのロジスティクスの再構築」(ソーシャル・ロジスティクス)です。

これらの研究を推進するにあたって、国内外の大学との連携を図っていきます。

本ホームページでは最新の情報を随時掲載するように努め、会員の皆様との情報交換だけでなく、上記ミッションを達成するための多くの研究成果や情報を公開していきたいと考えています。お時間のある時に本ホームページを訪れていただければ幸いです。